西部劇ベストテン

 昨日観た映画をすっかり忘れることはあっても、
 四十年前に観た映画のシーンが目に焼きついている。
 その不思議さに。







 ブームはめぐってきていたが、出るべき名作はほぼ出揃っていた。
 この切り抜きの出所は不明。
 たぶん『荒野の七人』のサントラ ソノシート付きムックからのもの。
 版型がタテ19センチ、ヨコ21センチだから、そう推定するだけ。確信はなし。
テレビ西部劇の栄光時代
 同じ切り抜きのウラページ。
 61年だと思うが。
 週に17本も放映されていた。
 『ローハイド』『拳銃無宿』『ララミー牧場』『シャイアン』など。
 TV西部劇が子供の精神世界を決定してしまったのだ。
 『拳銃無宿』のフルカラー版DVDが発売になった。
 シリーズの最終回が忘れられない。護送した女の囚人とのあいだに芽生える恋。賞金稼ぎの足を洗って新たにやり直そうと二人は約束する。けれども待っているのは女の死だった。
 ジョッシュの、魂を抜かれたような表情が心に残る。ハードボイルドの原点だ。
 おかしなもので、TVシリーズというのは、ヒット作が出ると必ず双子の弟みたいなそっくりシリーズが作られる。
 スティーヴ・マックイーン『拳銃無宿』には、ニック・アダムス『反逆児ジョニー・ユーマ』  クリント・ウォーカー『シャイアン』には、タイ・ハーディン『ブロンコ』 という具合。主題歌まで似せてあったわけ。


 『西部劇の世界』 荒地出版社 310p カバー
 これは1972年の新装増補版のもの。
 親しんでいたのは、1960年8月刊の初版。双葉十三郎の「西部劇ベストテン」の文章なんかは、暗記するくらいに読み耽ったのだった。
 亡くしてしまったので、新版を買ったのだけれど、どこかしっくりとこない。
 『西部劇読本』映画の友臨時増刊1960.10
 表紙は『アラモ』から。ジョン・ウェイン(デイヴィー・クロケット)とリチャード・ウイドマーク(ジム・ボウイ)。
 巻頭には「西部劇天国ニッポン」とある。
 これをピークに三年ほどブームの時代がつづいた。
 雑誌の特集号をせっせと買っていたのがまだ保存されていた。
 これは一冊目なので、上記の『西部劇の世界』ともどもお宝本となっている。
 『続西部劇読本』映画の友臨時増刊1961.5
 前号は完売、品切れ。
 名作百選リスト
 TV西部劇特集 などの記事。充実した内容である。
 『ララミー牧場』の広告も懐かしい。本編よりもずっと愉しみだったのは、淀川長治の「西部こぼれ話」のトークと、チンパンジーの出るバャリース・オレンジのCM。

 ガン・マン臨時増刊 画報西部劇60年 1962.1
 この雑誌の他の号のことなどはまったく知らない。特集号のみが手元にある。
 映画専門誌の特集と比べても遜色はない。
 西部劇映画史60年のグラビアページが充実している。
 とくに戦前製作の作品データ50ページ分は、これでしか見られないスティールを満載。
 お宝度もピカ一だ。
 西部劇ベストテン(製作年度順) 『西部劇読本』の選出

 駅馬車 ジョン・フォード
 荒野の決闘 ジョン・フォード
 西部の男 ウィリアム・ワイラー
 黄色いリボン ジョン・フォード
 赤い河 ハワード・ホークス
 ウインチェスター銃73 アンソニー・マン
 真昼の決闘 フレッド・ジンネマン
 シェーン ジョージ・スティーヴンス
 大いなる西部 ウィリアム・ワイラー
 リオ・ブラボー ハワード・ホークス
 
 『西部劇の世界』の選出もほぼ同じ。
 『駅馬車』と『西部の男』が抜け、代わりに次の二本。

 ヴェラクルス ロバート・アルドリッチ
 OK牧場の決闘 ジョン・スタージェス







キネマ旬報増刊 西部劇シナリオ決定版 1962.5、7、9
 読み物よりも、シナリオ採録が値打ちの三分冊。
 ベストテン作品のおおかたはここにある。
 採録作はグラビアページつき。モノクロなのは残念だが、作品自体がフルカラーでない名作もあることだし。
 背表紙なんかは焼けて破れたところもあるけれど、お宝本のコレクションだ。

 増刊ヒッチコック・マガジン『GUNのすべて』1961.5 『続GUNのすべて』1962.1

 これはミステリ専門誌による特集。
 「拳銃のことは、何も知りません」と中原弓彦(小林信彦)の編集後記にある。
 西部劇ブームとモデルガン・ブームとが一体だったことをよく語る文献。
 拳銃学入門、西部拳銃史、テレビ西部劇への招待 などの記事が並ぶ。
 TV西部劇シリーズは、最盛期で週に二十本くらいあった。
 モデルガン・ショップが新京極にあって、いつも指をくわえて見ていたものだ。
 西部劇スタイルの抜き撃ちやガンスピンを趣味にする人たちも大勢いたのだった。











スクリーン臨時増刊西部劇特別号 五冊

1961.4  61.8  62.10  63.10  64.11

当時の映画ファン誌は『映画の友』と『スクリーン』とが二分していた。
こちらの特集号のほうは五冊もあるせいか、あまり有難みはなかった。
内容的にも、これはという特徴はない。
大藪春彦の読み物「西部劇時代の銃器」くらいなものか。 
1 2 3 4 5
フォード、ホークス、ペキンパー

1 キネマ旬報『世界の映画作家』シリーズの一冊。『西部劇の作家たち』1972.7
 作家論の系列の本がこのジャンルに関してあるのは珍しい。ジョン・フォード、ハワード・ホークスと並んでサム・ペキンパーの名前があるのも奇異な感じがする。
 ペキンパーは「遅れてきた」作家だった。
 この本が出た時点では、いくつかのB級作につづいて『ワイルドバンチ』『ケーブル・ホーグのバラード』があるだけだった。『ケーブル・ホーグ』は『砂漠の流れ者』というタイトルだったし。
 『ジュニア・ボナー』も『ゲッタウェイ』もまだ公開されていなかった。

2 フィリップ・フレンチ『西部劇・夢の伝説』 フィルムアート社 1977.1 284p

 西部劇の理論書みたいなのは敬して遠ざけていた。これだけなぜか一冊ある。
 同じ著者の『映画のタイクーン』に感心していたので、買った。
 しかしテーマ主義の飼ったアプローチにはあまり共感できず。
 こうした「研究」もまた落日の産物なんだろう。西部劇はもう、観るものではなく懐古する対象となってしまった。
3 『季刊 映画宝庫』B級映画大全の一冊
1977.10 芳賀書店
 適度な(?)マニアック性が気に入り、手元にけっこう残してある雑誌。
 全巻ではなく、半分が西部劇関連。
 サム・ペキンパー第一作『荒野のガンマン』の特集なんてのも。
 ペキンパーを評するのに「遅れてきた作家」というのでは圧倒的に足らない。
 彼は西部劇ブームが事実として終わったときにこのジャンルを背負わされた。
 落日のヴァニッシング・アメリカンだったのだ。
4 5  『季刊 映画宝庫』さらば西部劇
1978.7 芳賀書店
 『荒野の決闘』のシナリオ採録
 『駅馬車』『シェーン』の原寸大ポスターの付録
 など盛り沢山だが、B級センスの追求というテイストは変わらず。
 スター名鑑に出てこないB級スター名鑑
 日本人の知らないB級シリーズの数かずなど。


西部劇マイベスト10

 ワイルドバンチ サム・ペキンパー
 リオ・ブラボー ハワード・ホークス
 ヴェラクルス ロバート・アルドリッチ
 赤い河 ハワード・ホークス
 駅馬車 ジョン・フォード
 荒野の決闘 ジョン・フォード
 シェーン ジョージ・スティーヴンス
 大いなる西部 ウィリアム・ワイラー
 OK牧場の決闘 ジョン・スタージェス
 ゴーストタウンの決闘 ジョン・スタージェス

 プロフェッショナル リチャード・ブルックス

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